嗜好大麻合法化は医療大麻産業にどう影響を与えるか?

ペンシルベニア州の2人の上院議員が提案した、嗜好大麻合法化案が承認されれば、まもなくペンシルベニア州には医療用と嗜好用という2つの大麻市場ができる事になる。

嗜好大麻の導入は、医療大麻業界にどのような影響を与えるでしょうか?


推測するのは難しいですが、地方の医療大麻販売業者の中には嗜好大麻の合法化が新しい市場に参入する機会になると考えている者もいれば、嗜好大麻にマリファナ市場を取って代わられないか懸念している者もいる。


「私達は医療用大麻プログラムの重要性を認識することが重要だと思います。医療大麻の処方は21種類の疾患に限り認められています。

各疾患により処方される医療大麻の種類は違い、医療としての専門性が問われるので、私たちは医療用大麻産業が引き続き好調であり続ける事を確信しています。」と語るのは、ユニオンタウンにある大麻診療所、メイトリ・メディシナルス社の共同創立者、コリン・オグロドニク氏。「医療大麻産業と娯楽用大麻産業の顧客層は全く異なるので心配はしていませんよ。」


ペンシルベニア州の医療大麻プログラムは2月に1周年を迎えた。当時、ペンシルベニア州では116,000人以上が(83,000人に身分証明書が発行され、薬局で大麻製品を購入できるようになった)患者として登録されていた。同州は農家や加工業者から1億3200万ドル以上の税収を集めている。

嗜好用と医療用の市場は完全に分離していると、ワシントンにある医療大麻診療所『ヒーリング・センター』のクリス・コーハン最高経営責任者 (CEO) は断言する。

「明確な違いがあると思います。治療の為にやって来た人たちは、世間の注目を集めたいとは思っていない。医学の問題です。病院に行くようなものです。」とコーハン氏は述べた。

「医療大麻を必要としている患者達は、娯楽でマリファナを好む客達とは全くニーズが違うんですよ。」

政治家たちが嗜好性の高いマリファナを合法化する取り組みを進める中で、コーハン氏は複雑な問題が山積していることを懸念している。

しかし、もし娯楽用のマリファナが認可されれば、コーハン氏はこの市場への参入を検討すると述べた。

「医療大麻か嗜好大麻と選択肢が増えると、医療大麻市場は大きな打撃を受けますので私達は前向きに考えなければなりません。」


ワシントンにあるCompassionate Certification CenterのCEO兼共同設立者であるブライアン・ドナー博士もまた、娯楽用マリファナの合法化に懸念を抱いているが、彼は前向きに考えている。

「私の最大の気掛かりは‘疾患が’あると偽って医療大麻を手に入れようとする人達が現れるかもしれないという点です。状況を見てみると、ペンシルベニア州の医療大麻プログラムは1年あまり前から非常に成功している。反応は良好で、患者が求める十分な種類と量が確保出来ています。」とドナー氏。

「だが、娯楽用となると、在庫不足になるのではと、とても心配になります。しかし良い面もあります。嗜好大麻が合法化される事により誰もが気軽に大麻に接する事ができるようになるということです。医療の観点からすると定められた21の疾患に該当する患者しか大麻を手に入れられないが、嗜好大麻の使用が認められれば顧客は増えますから。」


ドナー氏が指摘するように、嗜好大麻が合法化されれば、大麻産業全体を後押しする可能性が十分にある。

ピュー・リサーチ・センターの最近の調査によると、米国人の約10人に6人 (62%) がマリファナの使用を合法化すべきだと答えている。2000年には、米国成人の約半数が嗜好大麻の合法化を支持した。

ドナー氏はまた、娯楽用のマリファナを合法化すれば、ブラックマーケットから消費者の安全を促進できると述べました。

「製品に関しての規則とモニタリングは皆に利益をもたらすでしょう。」とドナー氏。


ペンシルベニア州で嗜好大麻が合法化されれば、医療用大麻産業はもう1つの利点があると考えている————医療用大麻業界で今まで得てきた経験だ。科学的知識、現場の医療スタッフ、カスタマーサービスのスタッフが、他では得られない専門知識をお客様に提供する事が出来ます。

「娯楽用のマリファナの合法化は人々をブラックマーケットから合法的な市場へと導き、安全に調整された製品を利用できるようになり税収さえももらたすのです。」とメイトリ・メディシナルス社のオグロドニク氏は述べた。



「嗜好大麻の合法化はチャンスであり、私たちはそれを切望していますが、そのチャンスは、大麻を必要としているすべての人の生活の質を向上させ、安全な製品を入手できるペンシルベニア州の人々にとってのチャンスでもあるのです。」